売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

④D専アンドロイド工場「Dの意志」

「Aく~ん、そろそろポチャ系くらいには興味持たないと!」パシャ

「DBのDNA構造レベルまで理解させたにもかかわらず・・・?」

「リアル肉襦袢!にくじゅばんだよ、にくじゅばん最高!わはははは」

AはD専の英才教育を受けていた。わたぶ~からはアイドルから五十路妻レベルまでのD専スイゼンモノの魅力的なDB写真集を何冊も提供され、ドクターは医学的見地からDBの生命構造、DB誕生からのDB進化論を伝授、キンポーからは今日から役立つ実践的D専教育を施されていた。

(みんな、ごめん)

Aは焦っていた。いつしかAは3人の献身的な指導にもかかわらず、D専になれない自分を責めるようになり、このままでは妻を抱く事は不可能、C子との浮気も続いているのにこのままじゃマズい。潜入捜査もD専失踪事件の全容がつかめないまま半年が過ぎようとしていた。

(なかなか骨があるヤツだな)

(しかもアレは【Dの意志】か・・・。はあっはっはっは!)

デブ専工場のオーナーはその一部始終を監視していた。

(ふん!キメラのエサにしてやるわ!)

 

「部署移動があります」

メンちゃんから連絡があった。

「3人は役員室へ」

Aを除く3人が役員室で仕事をするようになったようだ。

「いや、まだこの仕事、完了してないけど」パシャ

「わははは!中途半端は嫌いだぜ!?」

「Aの深層心理に【Dの意思】らしき形跡が・・・」ゴクッ

「おっと!」メンちゃんは話を遮るように話し始めた。

「おっと、みなさん!これまで全力で対応いただきありがとうございました」

「ここから先、A君には特別カリキュラムを用意しております」

「そして3人の皆様は特別待遇をご用意しました。」

「当社オーナーとともに理想郷作りに邁進いただきます」

「マジか!うひょおおおお!」

キンポーのおっさんが叫ぶ。

「ふう、これまた大仕事だな」ニヤリ

「いいよいいよ~理想郷、いいよ~」パシャ

(理想郷・・・?)

理想郷・・・D専工場オーナーが描いている野望であり、D専のD専によるD専の為の国家作りであり、それは世界トップクラスの3人にしか知らされていない内容だった。

「じゃ、またな!奥さんの隠し撮り写真、メールで送れよ!」パシャ

「下着姿などあれば高値で取引しましょう」ゴクッ

「ポテチ食ってる写真がいいな!わはははは!」

「みんな、ありがとう!そしてD専になれずにごめん!」

「な~に言ってんだ?Aには俺らにはないモノ持ってるじゃん!」パシャ

「そう・・悔しいけど我々にはないモノがね」ゴクッ

ドン!「大事にしろよ!わはははは」

ドンっとAの胸を叩くキンポーのおっさん。

「おっとみなさん、これ以上は内密に・・・」

メンちゃんが話を切り、PIG4と呼ばれたチームは解散となった。

(理想郷?俺にしかないモノ・・・?)

 

それから3か月がたった。Aに与えられた新しい仕事はメンちゃんの補佐的な仕事で各部署を回り、鉛筆や消しゴム、コピー用紙などの補充をしたり、健康診断の手配をしたり、社内の争いごとなどが起きた時は仲介に回る総務的な仕事だった。

(元PIG4が来たぞ)

栄光の階段を駆け上っていたように見えたAが今は補佐的な仕事をしている・・・。同期たちの目にはそう見えても仕方がないし、役員候補の4人目が脱落したと思わせるには十分だった。

我こそが4人目だと社内の士気は上がる一方、Aは蔑まれ、バカにされ、見下された。そこで生まれる人間不信の感情はAの気持ちを直接握り込んで行った。

(D専ども、バカにしやがって!)チクッ

(D専のくせにお前ら全員、ブチのめしてやろうか!)チクチクッ

(あいたたた、ん?なんだこの痛みは?D専を恨めば恨むほど心が痛む???)

今までにない感情・・・憎しみ、悲しみ、人間不信、D専嫌い・・。それらが複雑に入り混じる事でAが今まで感じた事がない不思議なドス黒い感情が体内で育っている感覚を覚えた。

(ハアハア、なんだ!?)

(ハアハア、なんだこの痛みは!?)

会社を飛び出し、全力で走る。夕日が沈む海岸線まで辿り着き、自分の胸をドンドンと叩く。

「まだ労働時間内ですよ」

メンちゃんが追いかけてきたが、息は切らしていない。

「はあはあ、メンちゃん、これ、なんだろ?俺、怖いよ・・・」

「疲れているのでしょう。今日はこのままお帰りください」

「タイムカードは私がコッソリ押しておきますから」ウインクぱちっ

「いや、さすがに規定労働時間は働くのが筋っしょ」

「いいからいいから。帰って帰って」なんか必死ー

無理やりでもAを帰そうとするメンちゃんの好意に甘えそのまま帰路に着こうとするが普段よりも2時間ほど早い。この不安な感情を癒してくれる浮気相手のC子、C子に会いたい・・・。

「あ、もしもし、C子?今から行っていい!?」

「ごめん、Aくん、私たちもう終わりにしよう」

「突然どうしたの!?」

「理由は聞かないで、もう来ないで。ごめんなさい・・・」

ただ普通にフラれただけなのだけど、SSSとしての経験からか、何かに怯えているようにも聞こえたC子との会話。

(おかしい・・・?)

フラれて呆然とするよりも早く、AはC子の異変を感じ取った。

(C子、今いく!)

水商売をしているC子はまだ家にいる時間で、風呂に入ったり化粧だったりと出勤前の準備で忙しいのは十分承知しているが、それよりもC子に何か危険が迫っているように感じたAはJRとタクシーを乗り継ぎ、C子のアパートへ辿り着く。

「ピンポーン、俺だ、Aだよ、開けて」

返事はない。

「C子、どうしたんだ?開けろよ」

電気のメーターは回っている。確実に部屋にいると確信したAは妻にバレないようにカバンの奥に隠した合鍵を取り出しドアを開ける。

「C子、入るぞ」

(なんだこれは・・・)

部屋が激しく荒らされている。

「来ないでって言ったじゃん・・・」

部屋の片隅で小さく体操座りをして震えているC子がいる。確実に何かに怯えている。

「どうした?何があった?」

「うわあああああん」

泣きつくC子、それをやさしく受け止め抱きしめると少しずつC子が話しだした。

「昨日、3人の男がいきなり来て・・・」

「A君と別れてもらいたいと」

(3人?誰だ?)

「何もされなかったか?3人の特徴は?」

「うん、拒んだら急に態度が変わって」

「部屋を荒らして写真を撮るだけ撮って・・」

「あと、Dの意思とかなんとかつぶやいて・・・」

「Dの意志??他には??」

「えーと、、あ、妙に素早いDBもいたわ」

「社長!あとは任せた!わははは!って言ってたわ」

バラバラのパズルがひとつになるように、Aの脳内で犯人が絞られて行く。

(あ・い・つ・ら・か!俺の大事なC子を狙いやがった!あの、クソD専どもめえええええ!!ブチのめす!1人残らずブチのめしてやる!!)ごおおおおお

D専に対する憎悪感情が引き金を引き、Aの体内でくすぶりつつあったドス黒い感情が一気に燃え広がる。そしてそれは漆黒のオーラとなってAを包み込んだ。

ズ、

ズ、

ズ、ズ、

ズキーーーン!(ぐわああ!)

体を突きさすような胸の痛みがAを襲い、Aは悶絶。口から泡を吐き、白目をむく。あまりの痛みでAの意識が飛ぶ寸前、何かが体内から語り掛けてくる声をAははっきりと聞いた。

(このカラダ、もらっちゃうもんね)

(誰だてめえ!?ハアハア)

意識はギリギリの綱渡り状態。

(気を抜いた瞬間終わる。)ギリリッ

そう思うAは歯を食いしばって耐えた。

(うん?知らなくていいからさっさと意識飛ばしちゃってよ)

(好き勝手させるかよ!)ゲロゲロ~

Aは咄嗟に指を喉に突っ込み、嘔吐した。

(あ、コレ、Aの意識、飛ばないや。ざーんねん)

Aは飲みすぎた時や二日酔いの時に自ら吐く事でスッキリする事をSSSの経験上、知っていた。苦しい時は吐くのが一番だし、涙目にもなるけど吐いたらとにかくスッキリするのでいざという時はだいたい吐くに限る、という自己防衛技術を習得していたのだ。ぶっちゃけ胸の痛みに効くかどうかは掛けではあったが。

ドス黒いオーラは神々しいゴールドオーラへ変化し、D専への憎悪で濁っていた目は透き通り、全身と股間にパワーがみなぎって行く。

(仕方ないね、オイラの力、貸してやるよ)

(君は誰だ?)

(A君、君を乗っ取るチャンスを伺っていたんだけど、ちょっとだけ君の意思が強かったみたいだね)

(俺を乗っ取る?)

(うん、オイラはこの世の全知全能の絶対的存在さ)

(つまり君たちの世界で言う「神」みたいなもの、かな?)

(ここ数百年は【Dの意志】とか言われてるけどネ)

数百年前、D専の化身として君臨し続けた皇帝一族・・・デブワード・D・デビィの血を引くものだけに宿ると言われる【Dの意志】すなわち全知全能の絶対的存在でこの世のD専神。古い文献によればヨーロッパで派生したこの一族の意志は大陸を超え、海を越え、この極東の地、日本へ辿り着いたとされる。「DB神サマ」と東北地方では未だにD専神を祀る地方があり、ユネスコ無形文化遺産に登録された事は記憶に新しい。

(じゃあ、つまり、俺ってあんたのひ孫的存在?)

(うーん、ひ孫どころぢゃないけど、まあそんな感じw)

 一族の記憶が一気にAに流れ込み、Aの脳が活性されて行く。Aにはモード覚醒できる特技があるが、その数倍、いや数千倍にも及ぶ情報量が一瞬にして流れ込む。

(うん、だいたいわかったよ、じっちゃん)

(いや、だからじっちゃんとかそんなレベルぢゃ、、まいっか。)

(つーかさ、かわいいひ孫のカラダ、奪うつもりだったワケ?)

(うん、ちょっと野暮用があってね)

 

「ちょっとA君!アタマ大丈夫?さっきから悶絶したり白目むいたり泡吐いたり、ゲロ吐いたりブツブツ言ったり」

「大丈夫だC子、俺が明日ケリをつけてくる」

「お願い、今夜は一緒にいて」

「ああ、仕事なんか休んじゃえよ」

「うん、しつこいエロオヤジと同伴だったからサボっちゃお。ついでにゲロの掃除はちゃんとしてね♡」

 D専神となったハズのAだが、決してスレンダーではないがDBではないC子とたっぷりHをし、何度も何度も愛し合った。股間が何度も何度もC子を求めるのだ。

 

(・・・私の前でDB以外を抱けるのか!)

(・・・こいつはビックリした。おもしろい事になってきたネ)

 

続く