売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

①D専アンドロイド工場「SSS」

(やれやれ、マジで行くのかよ)

Aは「面接会場はこちら」と書かれた張り紙の前で深いため息をついた。

ここはとある街のD専アンドロイド工場。
ここではD専アンドロイドが日々、大量生産されている。
人工知能を埋め込まれた人型のロボットである高性能なD専アンドロイドたちの活躍の場は広く、人手不足で深刻な農村・漁村、そして企業・役場・銀行と日本中、いや世界からのオファーも多い。


見た目は人間と変わらない完璧に作られたアンドロイド(人型ロボット)たち。そのアンドロイドを支える「人工知能」を日々進化させる為、D専工場では人工知能の研究が絶え間なく続いていた。

「D専を募集!月給100万円!」

好待遇をうたった求人ネット広告が日本中のD専たちのパソコン、スマホにひっそりと配信され、それに魅かれたD専たちが日々、面接に工場へ訪れる。もちろんDBマニアのネット界隈ではD専工場の話題は沸騰し、「日本最高峰のD専たちが集まる神聖なる場所」として競争率も高く、本物のD専でなければ突破できない超難関の就職試験となっていた。

表向きはよくあるロボット工場だが、その工場には裏の顔があった。D専工場のオーナーは世界中に自社工場で作成したD専アンドロイドを気付かれぬまま送り込む。そして気付かぬまま浸食を広げていき、世界をD専一色に染める世界征服。D専だらけの理想郷を創造し、君臨する。すなわち『神』となる事・・・。

この好待遇をうたった求人に関してもD専の社員を募集しているのではなく、「人工知能の研究開発の為のモルモット」を募集していた。つまりアンドロイドのためにモルモットとなるのは生身の人間たち(D専たち)であり、人工知能にD専のD専によるD専のための生きた思考回路をディープラーニング(深層学習)させる為にD専で新鮮な人間の脳が必要だったというワケだ。

一騎当千の能力を持った日本を代表する最高クラスのD専たちもそれが「フェイク募集」だった事に気付いた時にはすでに遅い。ハイレベルD専脳は人工知能に脳組織ごと吸収され、使用済みとなると一切の記憶を消され、見知らぬ街で解放された時にはDなど1ミリも興味を持たない蝋人形のような状態となって第2の人生を歩む事となる。


(日本中のD専比率が下がっている・・・?)

D専失踪事件が後を絶たず、国家最高クラスのD専人材が失われる事でD専比率が著しく低下しプライマリーバランスが大きく崩れることは国家としての損失も大きく、ついに事態を重くみた国家の某組織が動きだす。


課長「次の潜入はここね」ピラ~。

ここは国家諜報情報局。国が運営する機密性の高い諜報機関のひとつで、なかでも潜入捜査を専門としたエージェントを集めたエリート集団。通称「SSS」と呼ばれており、(S)シークレット(S)潜入(S)捜査チーム。れっきとした国家公務員である。

捜査官A「え~次はD専っすかあああ!?」

捜査官B子「あなたはガリ専だったわね。お・気・の・毒。ウフフ」

捜査官A「いや、ほんとカンベンっすよ」

課長「最初はB子を推したんだが・・・」

捜査官B子「・・・ウフフ????」

課長「今回はなぜだか上層部がA君をご指名なんだ」

捜査官A「何で俺えええ!?」

捜査官B子「(助かったわ、ほっ・・)」

課長「いかなる場合も我々の任務は・・・」

捜査官A「わかってますよ!完全になりきるんでしょ?ったくもう、今度はD専かよ・・・」

このSSSはエリート集団であり、言語・趣味特技・性格・宗教・性癖に至るまでターゲットのTPOに合わせた「変装」を完璧にこなす。つまり潜入捜査に必要とあればSだろうがMだろうが、スカトロだろうがDV男だろうが何にでもなりきる多彩で多才なエリートの集まりなのだ。

ところがAはある悩みを抱えていた。結婚して9年、子供は3人。かれこれ妻とは3年近くカラダの関係はないのだが最近、数年ぶり妻から求められた結果、おっきしなかった事が原因で、そのおっきしなかったためにAは浮気を疑われ、スマホの中身やお小遣いの使い道、新入社員は若くてピチピチしてるだろうとか30~40代の主婦もいる職場だからその世代はトキメキを求めるだとか浮気・不倫したら離婚、風俗行きすら離婚だと離婚条件を再提示させられていた。
潜入捜査という仕事柄、確かに職場にあらゆる年代の男女がいる。いわゆるピチピチの未成年からそれこそB子のようにトキメキを求める38歳の人妻もいる上、風俗への潜入捜査など日常茶飯事。いったいどこまでが仕事でどこからがプライベートなのか基本的にはアタマと股間は理解しているつもりだから今のところ離婚条件には合致していないつもりではいる。

もちろんAもおっきさせようと努力してはいたのだ。しかしながら結婚当時の面影などまったく感じられないほど巨大化した妻。Aは極度のDB嫌いでDBに1ミリも魅力・性欲を感じない。誤解を招くといけないがもちろんぽっちゃりレベルは全然大丈夫なのだ。好んで指名などは行わないが「お願いだからDBだけはやめて」と潜入先の某店では受付のおにーちゃんに懇願するレベルなのだし、絶対にイヤなら「指名料」を払って写真指名くらいは行うハズだし、ぽっちゃりくらいなら十分おっきするのもつい最近行ったから確認済なのだ。

しかし相手がDBならおっきしない。DBを目の前にして神々しく、そして隆々とフルおっきしないとD専ではない。つまりD専としてD専工場の入社試験を受け、D専として合格しないとこの潜入捜査が行えず、ミッション失敗となる事は今後のキャリア形成にも影響が出てくる恐れがある。

 

「課長、実は・・・」

数々のミッションをこなし、順風満帆なエリートサラリーマンだったAはSSSに配属されて初めての難題にぶつかった事に悩んだ結果、課長へ相談する事にした。

 

続く