社会に出たらパンツを脱ぎなさい。
~第39話:辞退する気マンマン~
「生命保険の営業マン」だけはイヤだと思っていたし、転職する気もなかった。だいたい「受かれば辞退する気マンマン」だったし、とにかく自分の価値が知りたかった。エリートしか受からないと言われるプルデンシャル生命に受かるかどうか。とにかくそこが知りたかっただけなのだ。
訪問(面接)では実際にプルデンシャルで働いている人から話を聞いたり、ハワイでの社長杯のビデオを見せられたり、数人の人たちに囲まれて最終的な面接を受けたり・・・とりあえず訪問と面接は終わった。筆記テストやSPIが無いので私にとっては余裕だ。正直、受かれば辞退する気だったので初回の支社長と会った時以外は全力で面接に応じ、あとは数日後に結果を待つだけなのだがその待っている間に色々と考えてしまった。つまり面接が終わって初めて真剣に考えたというワケだ。
(こんなに働いてるのに、俺、バカじゃね?)
(借金、下手したら3か月くらいで返せるかも?)
と不覚にも思ってしまった。これが全ての間違いだ、このバカタレめ(笑)
まあ、おかげで今があるのでバカタレだったかどうかはのちほど考えるとして、後日、結果が出る日にプルデンシャルへ行った。
(受かったら辞退)
(受かったら辞退)
(受かったら辞退)
と念仏のように唱えながら応接で待つ。すると支社長が出て来た。あの一生ソリが合わないと思ったオッサンだ。相変わらず妙なオーラだけはある。
「うーん」
私の顔を見て、ちょっとしかめっ面をする。
「・・・五分五分だな。いや、それ以下かもしれん」
「ああ、そうですか。」(落ちたか。まあいいや)
さすがに受からなかったか。と思ったので「お忙しいのにお時間取らせて失礼致しました」と言って席を立とうとすると、支社長がなんか言って来た。
「お前がもしも、、、だな、あーだこーだ、あーだこーだ」
あ、なんか駆け引きが始まったぞ?(コレ、演技だな)と直感でわかった。
「再来月には入社する事。それが条件だ」
(あれ?受かってた?)
今は月末なので、早々に退職願いを出して、再来月に入社しろと。別にそれは大丈夫なんだけど、あの演技にイラついてしまった。「うちに来い!」となんでスパっと言えないんだ?そう言ってくれば勢いに任せて「ハイ」と即答したかもしれないのになあ。私、そういう男らしいのキライじゃないし。今から人生掛けて転職しようかと思っている人間を不安にさせてどうするのさ。元々、辞退するつもりだったけど、なおさら辞退する方向に気持ちが固まってしまった。
「再来月は私にとって全く問題ありません」
「ですが私は五分五分以下なようですので辞退します」
「お時間いただいてありがとうございました」
そういって席を立つとまたなんか言って来たけど、深々と頭を下げて部屋を出た。
入り口に田中所長がいたのでご挨拶。
「落ちてました。残念でした。貴重な体験をありがとうございました。」
「失礼します」
「え!?????????」
合格する方向で話が進んでいたのだろう。私は駆け引きするのはオンナだけでいいの!(笑)
それからがまあ、大変だったけど、辞退する気マンマンだった私は色々あって結局プルデンシャルへ挑戦する事になった。ここは割愛します。パンツ脱いだ話とはあまり関係がないので(笑)
さあ行くぞ!世界で一番難しいと言われる生命保険営業へ。 借金があっという間に返せるかもしれないフルコミッションの世界へ、エリート集団のプルデンシャル生命保険へ!
決意は固まったけど、まだ誰にも話していない。親や友人、会社のメンバーはもちろん、天敵の本部長にも、そしてノリピーにも。
私にはまだ片づけないといけない問題がある。全部を1ヵ月ちょいで清算して人生掛けてやり直しだ。私は営業職の高見に登るのだ。そして借金ともおさらばして、ついでにお金持ちになるのだ。パンツ脱がずに営業するのだ。
つづく
くそう、24時更新、失敗。寝落ちしちゃった(*_*;