⑫社会に出たらパンツを脱ぎなさい。
~第12話:密室・密会・密約~
「私達の関係、バレちゃったかも」
大きなため息をついて女王が言った。メンヘラボブ子を家に送り届けた晩、女王と会って緊急会議を行った。もちろん女王の家でビールを買い込んでのお泊まり会議だ。
最近、直接的ではないが、こんな事を言われるようになったらしい。
「最近ヒヨッコさんと仲いいですよね」
「金曜日の何時ごろに〇〇町にいましたよね」
「土曜日の朝に〇〇駅でヒヨッコさんを見かけました」
「彼氏できたんですか」
(まさか・・・ストーキングされてる?)
私との関係がなければボブ子の質問などなんでもないが、私と女王が出来てる前提で聞くと全てがクロ。まっくろくろすけだ。明るいボブ子の性格も最近は暗く、職場もギクシャクし、些細な事であの女王とも衝突するようになったらしい。
「ボブ子とは付き合ってるの?」
正確に言えば、徹夜での仕事がない時は夜な夜なボブ子を突いてはいるが付き合ってはいないし、一瞬好きになったが、生理的に嫌いにもなった。つまりは付き合ってないという結論は変わらない。
「付き合ってないっす」
「んで・・私は女王さんと別れたくないです」
「・・・私も今の関係がいいわ」
このオンナは仕事発注の女王だ、立場を考えると圧倒的優位の女王。すでに生理的に嫌いになってしまったメンヘラボブ子とはまったく比べ物にならなかった。
「今まで以上にコッソリですね」
会議の結論はこうだ。私はボブ子を捨て女王を取った。この選択肢が最善と判断したがひとつだけ女王に注文を付けてみた。
「ボブ子さんは私の事が好きなようです。」
「このままではマズいです。担当を変えてもらえませんか」
いち業者がクライアントの担当窓口を変えてくれとお願いする。本当にとんでもない事を口走ったと今さらながら感心しちゃう、すごいぜ俺。
この飲むワケがない要求をなんと女王が飲んだ。女王もバレたらマズいし、バレているなら気まずいどころか、接待すら禁止な会社にいる発注件を持つ人間が業者から毎週金曜日の晩にヒーヒー言わされながら発注しちゃってるワケなので。
「キングに聞いてみるわ」
二人ともこの関係を辞めるなんて考えないところがスゴイと思ったし何よりお互い独身だ。自由恋愛だと言ってしまえば必要以上に責められまい。だいたい女王は美人だしその気になれば金持ちのおっさんくらい余裕で捕まえる事もできるだろうから私は遊びなのだ。その遊びが本気になる事は絶対にないと私も思っていたけど想像以上に私のおティンティンの破壊力に虜なのだ。カンペキにズブズブにしてやったぜ、へっへっへ。
ということでこれからも遊びましょう♪というズブズブのゲスな結論で会議は終わり、その晩もキングサイズのベッドを縦横無尽に使いながらSEXを楽しんだが会うペースは落として行った。そう、4月になるまで目立ってはいけないのだ。
そして4月になった。恩師の課長がついに部長に昇進した。約100人の営業マンを預かる営業部長だ。私は本部長と未だ冷戦状態であったため、相変わらずの平社員だった。どんどん同期は出世して行ったがそんなのはどうでも良かった。
・・・そしてついにボブ子は私の担当から外れた。仕事はできる子だった為、人手が足りない繁忙部署へ栄転扱いだった。さすが女王だ。キングに人事異動を進言し、上手に持って行ったのだろう。
一安心したのもつかのま、それをきっかけに「猟奇的なメンヘラボブ子」の本領が発揮される事になる・・・。
続く