バカな私は奇跡的に受かった会社で、通算3回パンツを脱いだ。そのうち脱いだパンツ2回が大ヒットとなり、社長賞を2度も受けるという偉業を成し遂げる。
バカでどん底、仕事から干された私の起死回生、3回パンツを脱いだストーリー。
①社会に出たらパンツを脱ぎなさい。
~第一話:おもてなし~
奇跡的に超大手の大企業に受かったものの、根本的な問題があった。私は「バカ」だったのだ。新人は各課に配属され、それぞれの課で教育担当の先輩に付いて色々と学んでいく。私は「バカ」な上にその私に付いた先輩が最悪だった。
「教えないから勝手に覚えろよ」
ドラマで良くあるパターンだけど、まさか自分がその主人公になりえるとは。
「わかりましたあ。勝手にやります!」
私はもちろん営業課へ配属。営業は取ってきた案件を綿密なスケジュールに基づき自社工場の設計部門や生産枠を確保、試験・実験を繰り返してクライアントへ納品する。
当時、工場は職人気質のオヤジばかりだった。工場の中堅連中は金髪ヤローもいて本当に我が物顔でのさばっていた。つまり、何が問題かって言うと「工場のワクが取れない」のだ。何せこちとら何も教えてもらっていない。しかも聞いた事もないような専門用語が飛び交う世界だしバカだからまったく何もわからない。結果、数字と専門用語を並べた工場の言い分に言い返す事もできず、いつもすごすごと営業フロアへ戻って行く毎日だった。
営業が仕事を取って来て初めて工場も仕事が発生する。逆に営業が仕事を取って来ても工場が稼働しなければその仕事は成り立たないのだ。
奇妙なパワーバランスではあるが、当時は間違いなく工場の立場が上だった。
「お前、いいかげんワク、入れて来いよ!」
入社して3カ月、私は「使えない新人」だった。先輩が取ってきた仕事もロクに工場へ回せず、納期ばかりが近づいて行く。数名の同期は良い先輩に付いたらしく、すでに工場との交渉技術も取得し、仕事を回せるところまで到達していた。
(こうなったら)
私は外回りの営業にも行かずとことん工場に入り浸った。とにかく私の顔と名前を覚えてもらう作戦だ。工場の喫煙ルームにこもり、ひたすらタバコを吸う。タバコは最強のコミュニケーションツールだ。タバコとコーヒー片手に工場連中に顔を売った。ネタはパチンコ・風俗・営業職の女性社員の話、「誰と誰がやったらしい」とか大多数のおっさん連中が好む話題をひっさげ悪魔に魂を売ったヘビースモーカーと化すと、うるさいおっさん連中、いけ好かない中堅クラスの金髪ヤローも私の話術に落ちて行く。
そんな毎日が続き、次第に工場の連中とも打ち解けていたさなか、「営業も行かず、毎日タバコばかり吸ってサボっている新人がいる」と営業部へ通達される。
さあボスの登場だ。超コワい営業本部長から呼び出しだ。ごごごごごごごご・・・・。
「お前、なんのつもりだ」ごごごごご・・。怖いよう・・・。でもひるまない。
「先輩が仕事教えてくれないから工場の連中に、お・し・ご・と・教えてもらってるんすよ。何が悪いんすか。本部長が教えてくれるんすか」
正面から噛みついてしまった。私もいい加減ストレスが溜まっていた。しかも工場からも嫌われモノの本部長ならネタ作りにはもってこい。「いや~本部長に怒られちった」的な話も工場連中が喜びそうだとこの際、ネタにする所存です。
「お前、これから何もするな。今日から一日席に座っとれ」
お・も・て・な・し。つまり本部長のイジメが始まった。
つづく