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売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第36話:その男、プルデンシャルにつき~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第36話:その男、プルデンシャルにつき~

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「実はこれはヘッドハンティングのお話しなのですが」

自分は外資系の金融機関でプルデンシャル生命保険という保険会社で所長をやっており、ヘッドハンティングを生業(なりわい)としている、と名乗る男から連絡が入った。

「ある方から大変優秀な方とお伺い致しました。」

「一度お会いさせていただきたいのですが、本日、18時にお会いできませんか?」

「いや、今日は無理です。仕事終わりませんので」

「ですよね、ほとんどの方がそう仰られます。ただ優秀な方ほどお時間を作っていただけるのですが、明日の15時だったらいかがですか?」

(15時ならなおさら仕事中だろうがオイ)

などと思いながらも【外資系からのヘッドハンティング】という言葉に心が躍ったのは事実。うまいよなあ、と思いながらも実はプルデンシャル生命の事はよく知っていた。私の本社時代の先輩営業マンがプルデンシャルからヘッドハンティングされて入社していたからだ。

(生命保険じゃなけりゃなあ・・・)

・・・と思いながらも何事にも興味を持つ私は一度会ってみようと思った。今の仕事もいいのだけど、これから本部長と戦いながらいったい何年徹夜したり現場のおっちゃんに怒られたりクライアントに怒られたりと言ったドロドロの生活を続けるんだろうかと思うとちょっとだけ嫌気もさしていたのも事実。そしてノリピーからの逃亡も。

(しかしスゲータイミングだな、オイ)

と思いながら電話の向こうのプルデンシャルの所長さんに聞いてみた。

「ある方って誰からの紹介ですか?」

「みなさんそれが気になるようなのですが、それもお会いしてからお話しするルールなのです。」

「明日の15時でよろしいですか?」

「じゃあ今日でいいっすよ」

「さすが優秀な方は決断が早いですね。」

「それでは本日18時、御社近くの喫茶店でお待ちしております」

「お会いできるのを楽しみにしております」

そのプルデンシャルの所長は田中(仮名)と名乗った。半ば強引ではあったけど、礼儀正しく、相手を気持ちよくさせるツボをよく知っているなとも思った。結果、私はその田中所長の当初の予定通り、「今日の18時」にアポイントを入れられたのだ。明日の15時より時間が作りやすい今日の18時だ。本当にうまいと思う。

 (ヘッドハンティングのお誘いが掛かっちゃったぜ)

ちょっとネタになりそうで、誰かに自慢したくなるような気持ちになるのも無理はない。おそらく私は当時、体力的にも人脈的にも仕事的にも数字的にも精力的にも絶頂だったのだと思うし、ある事業を軌道に乗せてからと言うもの調子に乗っていたのも事実。生命保険業界なんて行くつもりは全くなかったけど当時の自分の価値が知りたかったのだ。

 

「まず、受かる方はほとんどいません」

「アナタも受からないと思います」

18時になり、プルデンシャルの田中所長と喫茶店で合流して話を始めた。いきなり(なんだコイツ、ケンカ売ってんのか?)という気分になる。こっちはわざわざ時間を作って会いに来てやったんだよ、なんだその言いぐさは。今、俺は絶好調なんだよ、来期は俺のチームだって作ってもらえるんだよ、そんな言い方されたら・・・

・・・本当に受からないのかちょっと興味が出てきたじゃねえかよ。

 

完全にペースを握られていた(笑)

さすが田中所長、スカウトのプロだぜ(笑)

 

つづく