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売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第38話:プルデンシャルへGO~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第38話:プルデンシャルへGO~

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プルデンシャルのスカウトの話を受けて、プルデンシャル生命の支社に乗り込む。

確か最初の訪問は火曜の19時頃だったと思うけど、とてつもなく広いフロアの割にはガラーンとしている。ぽつりぽつりと営業マンらしき人は確認できた。

(出勤は月曜と木曜の午前中だけですから)

こう言った田中所長の言葉を思い出しながら小部屋へ通されるとなんだか「いかにも」って人が出てきた。明らかにオーラが違い、威圧的な雰囲気を漂せる間違いなく私の嫌いなタイプだ。

その人はこの支社の支社長で、自分は偉いんだ、忙しいんだ、忙しいのにわざわざ時間を作って私に会ってやってるんだと言い放った。(かちーん、会ってやってるだと?こちとら忙しいんじゃボケ)と思った私。たぶん(今、私はとてつもなく忙しく、偉い人に会ってるんだな、すごいなこの人)と思わせて、私を精神的に丸め込み、上位に立つ戦法だと思うが、全くそんな気がしない。(ああ、この人とは一生ソリが合わないな)と思ってしまったし、全く魅力を感じない。従って全く話が耳に入ってこない。(ナニしゃべってんだこのおっさん)と思うくらいにしか感じなかった。無限連鎖だとか保険はすごいから紹介が止まらないだとか色々しゃべってたが、相変わらず「ナニしゃべってんだこのおっさん」くらいにしか聞こえない。本当に人間の第一印象って大事だ、気を付けよう。さて、そんな感じで約1時間くらい話を聞いたかな。

「どうでしたか?」

終了後、少しして田中所長(私をスカウトした人)が来た。

「はあ、あの人、プレゼンする気あるんすか?」

こっちもイライラしてて、噛みついてやった。

「こっちも忙しい時間に来てるのに」

「・・・そうですか。アナタには向かないかもしれませんね。」

「次回はどうしますか?」

「せっかくだから行きますよ」

「えっ!?」

「え?」

都合、合格するには3~4回程度の訪問が必要になる。途中で辞退する人もたくさんいるし、逆にお断りされる場合もたくさんある。つまりすべてが採用面接なのだ。という観点から見ると私は間違いなく「お断りされる」側だったのだが、プルデンシャル側にも事情がある。つまり「採用ノルマ」があるのだ。

多くの営業マンをスカウトし、採用し、一流に育て上げ、たくさん保険を売ってもらわないと企業に成長はないからだ。そして所長の成績や給料はなるべくたくさん新人をスカウトする事で左右されるし、「社長杯」など、つまりコンベンションの入賞基準にも「何人スカウトしたか」が入賞の指標のひとつとなるのだ。もちろんその新人が「ポンコツ」ならば逆に所長の給料や支社の数字にとっても大きなマイナスとなるから無理やり転職させればいいってワケじゃないのがツラいところ。

「とりあえず最後までやってみよう」って気持ちのみが自分を突き動かした。もとより受かってしまえば辞退する気マンマンである。田中所長もびっくりだ。おそらく小一時間、話をした支社長から田中所長へ「アイツはダメだ」的なフィードバックがあったのだと思う。そりゃそうだと思う。だってあまりにも支社長を(ナニしゃべってんだこのおっさん)ってくらいにしか思わず、まともに話を聞くつもりもなく、本当に悪態な態度を取ってたもの、私ったら。ほほほほ。

 こうやって仕事の合間を縫って少しずつ面接の回数を重ねていく事になる。

 

下ネタなくてごめんなさい

続く

~第37話:心理戦のヘッドハンティング~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第37話:心理戦のヘッドハンティング~

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「年収はおいくらですか?」

(えと、この前上級職になったばっかりだし、ざっとこんなもんかな)

「今、800万程ですが、すぐに1,000万円です」

「・・・・・え?」

(ふふん、どうだ!なかなかだろ!?)

 

「・・・それ、月収ですか?」

(はい?)

 

続けて田中所長が言う。

「だって徹夜したりするんですよね?」

「私達は間違いなくアナタほど働いておりません」

「しかも出勤は月曜と木曜の午前中だけですから」

(ぬわに??週2日?)

「おかげさまで家族や子供と過ごす時間もたくさんありますし」

「成功している社員なら月収で1,000万円くらい稼いでいる人間は何人もいますよ」

(なんだと・・・?)

「徹夜なんかしてもウチじゃ評価されません」

「それだけ働いているなら年収は億を超えてもおかしくないかと思いまして」

確かにそれはウソではない。エグゼクティブと呼ばれている階級の社員に数億円プレイヤーはたくさんいた。

「この話は各業界で素晴らしい成績を挙げた方だけしか声が掛かりません」

「そんな方はさっさとウチに入って来ますよ。とにかく決断が早いですから」

「そんなエリートで構成される超営業集団です」

「お金も頑張れば頑張っただけアナタが好きなだけ稼げます」

「もちろんアナタが受かるかどうかはわかりませんが、どうしますか?」

 

(決断を迫られた・・・!)

 

「・・・聞くだけ聞いてみますか?」

 

【優秀な人間ほど決断が早い】思えば最初の電話からこの会話の中まで田中所長がサブリミナル効果のように織り交ぜて来たセリフだ。そのセリフがいつの間にか完全に私に刷り込まれてしまっていた。決断をしないといけない気分にされていたのだ。つまり完全にクロージングされてしまった。自分の価値を知りたくて田中所長に会ってみたワケではあるが、心臓を直接握り込んでくるような魅力的な話が次々と。私の自尊心をアオリ倒してその気にさせておいて、最後はマネーだ。金だ。つまり人生は金なのだ。借金が返せるかもしれないし、私のようなバカで貧乏育ちの人間が高見に行ける可能性もあるかもしれない。むしろ私はバカなのかエリートなのか、エリートだったらうれしいのだけど何よりこんなドロドロの生活からもオサラバできるだろう。苦労ばかり掛けてきた両親にもようやく親孝行ができるかもしれないし、今の会社で数字を挙げて来た自負もあった。でも何より私はエリートがさっさと集まってくるような会社に受かるのだろうか。お金ももちろんだけど、それもすごく気になってしまったのだ。しかし生命保険の営業はイヤだ。これだけが私の心の根底から外れなかった。

従ってこう考えた。

「受ける。もし受かったら辞退する。」

現在勤めている巨大企業はバカな私が受かるような会社ではない。しかしながらもし、プルデンシャルにも受かったならば、私はもしかしたらそれほどバカじゃないのかもしれない。今までやって来た仕事には色々問題もあったけどなんとかなって来たし。今までの出来事は偶然なのか必然だったのか自分を推し量るいい機会だ、よし、これで行こう。もし受かっても断ればいいのさ。

「そういえば、私を紹介した人って誰ですか?」

「ああ、本来は秘密なのですが、一度来ていただけたらお話しますヨ」

くそう、本当にうまいぜ。田中所長め(笑)会ったら話すって言ってたじゃねえか、とりあえず私をプルデンシャルに紹介した人間も知りたいし、行ってみっか。

色々と気持ちに理由を付けてプルデンシャルの支社へ乗り込むことになった。

 

・・・もちろん、スカウトが仕事な田中所長としては私のようにアポイントが入った人間にプルデンシャルに来てもらわないといけないワケだ。だってそれが仕事なのだから実はけっこう必死なのだが、本当に冷静な人間を演出していた。

くそう、田中所長め、絶妙な駆け引きだ。やっぱりうまいぜ。

 

それか・・・私が単純だったのかな(笑)

単純につづく

~第36話:その男、プルデンシャルにつき~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第36話:その男、プルデンシャルにつき~

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「実はこれはヘッドハンティングのお話しなのですが」

自分は外資系の金融機関でプルデンシャル生命保険という保険会社で所長をやっており、ヘッドハンティングを生業(なりわい)としている、と名乗る男から連絡が入った。

「ある方から大変優秀な方とお伺い致しました。」

「一度お会いさせていただきたいのですが、本日、18時にお会いできませんか?」

「いや、今日は無理です。仕事終わりませんので」

「ですよね、ほとんどの方がそう仰られます。ただ優秀な方ほどお時間を作っていただけるのですが、明日の15時だったらいかがですか?」

(15時ならなおさら仕事中だろうがオイ)

などと思いながらも【外資系からのヘッドハンティング】という言葉に心が躍ったのは事実。うまいよなあ、と思いながらも実はプルデンシャル生命の事はよく知っていた。私の本社時代の先輩営業マンがプルデンシャルからヘッドハンティングされて入社していたからだ。

(生命保険じゃなけりゃなあ・・・)

・・・と思いながらも何事にも興味を持つ私は一度会ってみようと思った。今の仕事もいいのだけど、これから本部長と戦いながらいったい何年徹夜したり現場のおっちゃんに怒られたりクライアントに怒られたりと言ったドロドロの生活を続けるんだろうかと思うとちょっとだけ嫌気もさしていたのも事実。そしてノリピーからの逃亡も。

(しかしスゲータイミングだな、オイ)

と思いながら電話の向こうのプルデンシャルの所長さんに聞いてみた。

「ある方って誰からの紹介ですか?」

「みなさんそれが気になるようなのですが、それもお会いしてからお話しするルールなのです。」

「明日の15時でよろしいですか?」

「じゃあ今日でいいっすよ」

「さすが優秀な方は決断が早いですね。」

「それでは本日18時、御社近くの喫茶店でお待ちしております」

「お会いできるのを楽しみにしております」

そのプルデンシャルの所長は田中(仮名)と名乗った。半ば強引ではあったけど、礼儀正しく、相手を気持ちよくさせるツボをよく知っているなとも思った。結果、私はその田中所長の当初の予定通り、「今日の18時」にアポイントを入れられたのだ。明日の15時より時間が作りやすい今日の18時だ。本当にうまいと思う。

 (ヘッドハンティングのお誘いが掛かっちゃったぜ)

ちょっとネタになりそうで、誰かに自慢したくなるような気持ちになるのも無理はない。おそらく私は当時、体力的にも人脈的にも仕事的にも数字的にも精力的にも絶頂だったのだと思うし、ある事業を軌道に乗せてからと言うもの調子に乗っていたのも事実。生命保険業界なんて行くつもりは全くなかったけど当時の自分の価値が知りたかったのだ。

 

「まず、受かる方はほとんどいません」

「アナタも受からないと思います」

18時になり、プルデンシャルの田中所長と喫茶店で合流して話を始めた。いきなり(なんだコイツ、ケンカ売ってんのか?)という気分になる。こっちはわざわざ時間を作って会いに来てやったんだよ、なんだその言いぐさは。今、俺は絶好調なんだよ、来期は俺のチームだって作ってもらえるんだよ、そんな言い方されたら・・・

・・・本当に受からないのかちょっと興味が出てきたじゃねえかよ。

 

完全にペースを握られていた(笑)

さすが田中所長、スカウトのプロだぜ(笑)

 

つづく

~第35話:ヘッドハンター~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第35話:ヘッドハンター~

 

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(逃げたい)

弱音を吐いてしまった。逃亡願望アリ。時期社長夫婦を間接的とは言え私は離婚させてしまったのだ。あくまで間接的で決して直接的ではない。きっと、多分。そして原因の一つとなったオトコとその元奥さんは付き合っているというか私に突きまくられてるのだ。いつか、いつかバレるに決まってる。

そんな時、天敵の本部長が私が勤める支社へ来た。いつものように黒塗りのハイヤーなど乗りながら。偉そうに。ふん。

「お疲れさまです」

「ふん」

いつも通り、交わす言葉はこれだけだ。犬猿の仲だし、お互い嫌い合ってるからそうなるのも当たり前だ。と思ったら、「おう、ちょっといいか」と応接室に呼ばれてしまった。

「なんでしょうか」

「・・・来期、お前のチームを作ってやる」

「は?」

「お前は俺が嫌いだろ?」

「ええ、まあ・・緊張するのは事実ですケド」

「本社に戻してやると言ってるんだ」

なんと私をチームリーダーというか、経験者として新しい課を作る構想が立ち上がり、来期あたりに始動するとの事。管理職には興味がなかったから経験者的な立場でアレコレ指導するような立ち位置だからそれもいいかもしんない。まあ、新しい事業が全国的に有名になっちゃったから、本部長に向けても何かしら指示が飛んだんだろう。しかし面と向かって「俺の事が嫌いだろ」だなんて言ってくる本部長も相当だなと思うけどね。

 ちょうど逃げたいとか弱音を吐いてた時だったからこれぞ渡りに船、まさに今、私が望んでる変革だ。私は仕事は頑張れても人間関係に弱く、特に女性絡みには弱いのだ。

まあ、来期というからあと半年くらい先の話だし、今から構想を練っておけ、だなんて適当な指示を受けただけ。とは言え、何かしら近未来に変化が訪れるというのは寝ても覚めても同じ仕事をするサラリーマンにとっては楽しい気分になるものだ。ただ、キライな本部長とまた同じ職場になるのはイヤだし、正式な人事ではないし、まだ半年あるし、どう話が変わるかわからないからまあ、ボチボチ考えるかな、と思っていた。それにあの本部長がわざわざ私に会いに来たという事実も大事で、ついにあのオッサンを見返しつつあるという事になるかもしれないという事ですっかり有頂天な気持ちにもなった。

そして本部長が来たにはもうひとつ理由があった。ついに私も上級職に昇進だ。これを境に給料が一気にうなぎ登り、ボーナスなども100万円を超す額が一撃で私の通帳に振り込まれる事になる。身銭を切ってでも仕事頑張ってよかったあ。などと思ったりもした。

 

そんな時、会社に私宛に電話が掛かって来た。

「ヘッドハンティングのお話なんですが」

 

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